スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

秋深し里の祭囃子 後編

そんな2人を人混みから見守る2つの影。
「咲夜さん、動いた」
「分かってる、追うわよ」
そう言って歩き出したのは咲夜と岡。霜月達から大分離れた位置だが、2人の目は狂い無く霜月とフランを追っていた。
「それにしても咲夜さん、印象変わりますね」
霜月達を追いかけながら、岡は咲夜の姿を見てふと言葉を出す。
「どういう意味よ?」
唐突な岡の言葉に、咲夜はやや棘を含んだ言葉を返した。
そもそも岡の発言が出たのには理由がある。今の2人の服装は普段のメイド服と臙尾服ではない。流石にそんな格好では否が応にも目立ってしまうため、2人共浴衣姿で尾行しているのだ。
「いや、普段の咲夜さんからは中々想像出来ないと思って」
「褒め言葉として受け取っておくわ。」
岡の言葉に咲夜は軽く答える。そんな会話の流れに乗って、岡はもう1つ気になっていた事を聞いた。
「つーか気になってたんだけど、なんで師匠じゃなくて俺?」
そう、本来ならこういう事はなたの方が得意にしている。では何故に岡が来ているかと言うと、
「だって岡、私となたより料理下手じゃない」
つまり料理担当を2人も外に出すわけにはいかず、仕方無くという訳だった。それを聞いた岡はガクリと肩を落とし、
「酷ぇ…」
小声でこう呟いたのだった。

夜も更け、楽しい秋祭りも終わりを告げる。何処の屋台も店終いの準備を始め、あんなにいた人影もほとんど消えていた。
「そろそろ帰ろうか、フランちゃん」
頃合いと見た霜月はフランに声をかけると、フランは疲れて眠くなって来ていたのか、目を擦るようにしながら答える。
「うみゅ…かえうー」
返事の感じからまともに歩けるような状態ではない。同じように判断したのか、
「あらら…ほら、フランちゃん、おぶってあげるからおいで」
そう言って霜月がその場でしゃがむと、
「あうー」
フランは力の抜けた声を上げて霜月の背中にのしかかる。霜月はそれを確認して立ち上がると、紅魔館への帰り道に足を向けた。

しばらく歩いて紅魔館に着くと、美鈴が2人を出迎えた。
「霜月さん、お帰りなさい」
「ども、ただいまです」
「妹様は…あぁ、寝ちゃったんですか」
声をかけてもフランから返事が無く、心配した美鈴だが、ただ寝ているだけだとわかると困った顔で笑った。
「相当はしゃいでましたから。いい思い出になってくれるといいんですけど…あ、これお土産です」
霜月も同じような顔で言葉をこぼすと、後ろ手に持っていた袋を美鈴に渡す。
「わ、ありがとうございます」
袋を受け取った美鈴は満面の笑みでお礼を言って頭を下げた。霜月も喜んでもらえて一安心すると、
「いえいえ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
そう挨拶し合って紅魔館の中に入っていった。
館の扉が、バタンと閉まった。
スポンサーサイト

comment

Secret

ブログ内検索
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。