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秋深し里の祭囃子 前編

秋も色濃くなり、山が赤や黄色に染まりきろうかという頃。幻想郷の里では今年も収穫祭が行われていた。
里のほとんどの人が来て楽しんでいる事もあって、里はいつになく活気に溢れていた。
「わあぁぁ~…」
そんな光景を初めて見たフランはキラキラと目を輝かせて感嘆の声を上げる。隣で立つ霜月は予想以上の活気に少し圧倒されながら、感嘆していた。
「教授っ、早く行こう!」
「よし、それじゃあ行こうか」
そういうと、わくわくを抑えられなくなったフランは霜月の手を引っ張る様にして、里へと入っていった。

2人が初めに入ったのは里に入ってすぐの場所にあったヨーヨー釣り。フランが色取りどりのヨーヨーに目を奪われてしゃがみこんで見ていると、店員が声を掛ける。
「いらっしゃい…って教授?」
そして彼女の保護者は何処だろうと辺りを見て、予想外の人物がいた事に驚く。
「あれ、ここ姫子さんの店だったんだ?」
声を掛けられてから店員を見た霜月も、知人の店だった事に驚いた。
「うん、やっていくかい?3個までなら取り放題、駄目でも1個だよ」
それなりに立ち直りが早いのか、その店員―月風姫子は誘う。霜月がフランの方を見ると、水に流れるヨーヨーをじっと見ていた。霜月は1つ頷くと、財布からいそいそと1回分の金額を出して姫子に手渡す。
「じゃあ1回だけ。彼女に渡してあげて下さい」
「ん、OK。はい、お嬢さん」
金額を片手で確認すると、姫子はフランに道具を渡す。受け取ったフランは霜月にコツを聞いて、早速挑戦する。
「……取れた!」
数分後、歓声と共にフランが1つ目のヨーヨーを釣り上げた。助言していた霜月も嬉しそうに彼女の頭を撫でる。フランは勢いに乗って2つ目のヨーヨーを狙うが、運悪く紙が破れてしまった。
「あぅ…失敗しちゃった」
それを見て残念そうに凹むフランだが、
「お嬢さん、筋がいいよ。アドバイスありでも初めてで釣れるなんて中々いないから」
姫子の言葉に頷くと、取ったヨーヨーで遊び始めた。それを微笑ましく霜月と姫子は見ていた。そこに出店の裏から、にゅっと顔を出す人がいた。
「あれ?コユ樹来てたの?」
「ぬわっ、閣下?!居たのか?!」
想定外の人物の登場に盛大に驚く霜月。一方、"居たのか"と叫ばれた"閣下"ことりるるは、そんな風に言われてショックだったのか目に見えて落ち込んでしまう。
「書BOO…ほわいと~、コユ樹が酷いー」
そして一緒に裏で働いていたリリーホワイトに泣き付いた。
「しっかりですよー」
「ほわいと~」
「りるる~」
ホワイトの励ましの言葉の後、2人は何をやっているのか、互いに名前を呼び合っていた。表にいる2人には何をやっているか全くわからないが、甘い雰囲気を撒き散らしているのは肌で感じられた。
「…姫子さん、よく閣下と一緒に居て毒されませんね」
そんな状態から目を背ける様に霜月は姫子に違う話題を振る。
「ん、あぁ、これのおかげかな」
その話題転換に乗った姫子はポケットから小さなお守りを取り出し、それを開けて中にある物を見せた。それは少量の花びらだった。
「これって…桜の花びら?」
もっと特殊なものが出て来ると思っていた霜月は、拍子抜けする。すると、姫子はそれを愛しげに手に取って霜月に語る。
「そ、ブラックがくれたお守り。ホワイトの春を渡す力に抵抗する力が込められてるらしくて」
「地味に愡けかいっ!」
姫子の語り方に思わずツッコミを入れてしまう霜月。そしてため息を1つついて、
「…まぁ、フランちゃんに悪影響が及ばないうちに去りますよ。それじゃ」
別れの挨拶と共に姫子の出店を去った。
「えぇ、また。りるー、教授が帰るよー」
声を掛けられたりるるはリリーと一緒に裏から出て来ると、
「またねー、今日ジュー」
「まーたでーすよー」
そう言って2人で仲良く手を振って霜月を見送った。

次に2人が来たのは射的屋。そこではちょうどメディスンとジルコニアが2人でぬいぐるみを落とそうど挑んでいた。
「あぅ、また外れちゃった…」
「当タらなイね、めディ」
「そうだねー」
仲良く顔を見合わせている姿は周りから見るととても微笑ましい。2人とも当たらなくても楽しいのか、負のオーラを出していないのもそうさせているのだろう。そこへやってきた霜月が声を掛ける。
「お、ジルじゃないか」
「はレ、教授?なンでいルノ?」
霜月が研究所から出て来る姿を見たこと無いジルは驚いたのか、目をしばたたかせる。霜月は苦笑いしながら反論する。
「何でとはご挨拶だな、ジル。私だって年中室内にいるわけじゃないぞ、珍しいのは確かだが」
「ぼクは初メて見るヨ」
くすくすと笑いながら答えるジル。一方の霜月は「まいったな」といった表情で頭を掻いた。
そんな事をしている間にフランとメディはいつかのサッカー大会※以来の再会に喜ぶと、まだ弾が残っていたメディが再び目当てのぬいぐるみを狙い撃つ。しかし弾はその脇を通り過ぎて当たらない。
「ぁぅ~、また外れちゃった…」
「難しいんだねー」
落胆するメディと感想を言うフラン。と、フランの目の前にぬっと射的用の銃が差し出される。見上げれば、いつの間にお金を払ったのか、霜月が自身の分の銃とコルク栓を持っていた。
「どうぞ、フランちゃん」
「ありがとう教授!」
フランが喜んで銃を受け取ると、霜月はにっこり笑い返してから自分の銃に弾を詰め始めた。
霜月より早く弾を詰めたフランは、ジルが狙っていたものより一回り小さなぬいぐるみを見つけて撃つが、
「あ、外れちゃった…」
フランの撃った弾は惜しくもその脇を抜けていった。それを見ていた霜月はフランを慰めるように、
「惜しかったね、フランちゃん」
そういいながら頭をぽむぽむと叩いてあげると、片手で銃を構えてそのぬいぐるみの隣にあった金平糖の小袋を無造作に撃ち落とした。その姿にフランだけでなくジルとメディも魅了されたのか、
「教授すごーい!」
「かッコいイー!」
「もう一回!もう一回!」
3人とも尊敬の目で霜月を見つめて歓声を上げる。これで調子に乗ったのか、
「任せな、何でも落として見せるぜ!」
と霜月は豪語した。

それから数分後。
「ジャーねー、教授ー。ありガトうー」
「ありがとうございましたー」
「またなー、機会があったら研究所の方にも顔出しにおいでー」
「2人ともまたねー」
4人は射的屋から出て別れた。その時フランとメディの手にはそれぞれが欲しがっていたぬいぐるみがあった。
そう、結局あの言葉の後で霜月は、フランたちが欲しがっていたぬいぐるみを始めとした6個の商品を撃ち落として見せたのだった。
「教授、かっこよかったよ。特に両手の銃でぬいぐるみを落とした時」
お目当てのぬいぐるみが手に入って相当嬉しかったのか、満面の笑顔で霜月に話すフラン。その無邪気な言葉に照れたのか、
「最低でもぬいぐるみを落とせてよかったよ」
霜月は頬を掻きながら答えた。

2人がジルやメディと別れてから露店を巡っていると、
「そこのお前達、ちょっと待ってくれ」
背後から2人を呼び止める声。誰かと思って霜月が振り向くと、そこには慧音が立っていた。知り合いだった事に安心したのか、霜月はほっと肩をおろしてから挨拶する。
「お久しぶりです慧音先生」
その挨拶を真似るようにフランも頭を下げ、
「お久しぶりです」
と言った。
「あぁ、元気そうでなによりだ」
慧音も同様に言葉を返すと、やや心配した顔で呼び止めた本題に入る。
「ところでだ、フランは大丈夫なのか?日中に出歩く吸血鬼など、聞いた事がないぞ?」
とてももっともかつ常識的なところで心配する慧音に霜月は、
「対策は多重に取っているので大丈夫ですよ」
と、笑いながら答えた。それでも少し不安なのか、「しかし…」と慧音が言いかけた時。
「慧音せーんせ」
「ひゃう?!」
慧音を背後から誰かが抱きすくめた。突然の事で動揺した慧音は、知り合いからすれば信じられない様な声を上げて硬直する。抱きついた彼は悪戯が成功した子供の様な顔で笑うと、ようやく霜月達に気付いて声をかける。
「や、教授。元気だった?」
その姿に多少呆れ混じりで、
「久しぶり、暁君。まぁそれなりにはな」
霜月はその彼―暁に挨拶を返した。
「それにしても教授と会えるとは思っても無かったな」
「こっちも会うとは思って無かったから驚いた」
互いに会うとは思って無かったためか、本当に意外だと話す2人。そこに割り込むように、
「暁…そろそろ離してくれないか?」
顔を赤くした慧音が声を出す。すると暁は何か思い出したのか、
「そーだ、すっかり用件を忘れてた」
と、両腕を慧音に纏まわせながら両手を打つ。そして、
「慧音先生のシフトの時間だから引っ張ってでも連れて来いって店長が言ってたんだ。それじゃまたな、教授」
そう言うと両腕を慧音の脇下に通して慧音の腕を持ち上げるようにすると、引き摺るようにして自らが来た方へ戻っていった。
「待て、暁!だからと言って本当に引っ張らなくても私は逃げないから…聞いているのか暁?!」
慧音の文句を聞かぬふりをしながら。
「教授ー、結局何だったの?」
「さぁ…」
残された2人は何の説明も無かったため、ただ疑問符を浮かべるしか無かった。
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No title

さ・・・爽やかに教授に見せ場を取られた!(ぇ
それはそれとして、メディとデートだわはー♪
いつぞやのほんわかが続いてて何よりw
祭りの様子が頭に浮かぶいいSSだぜ・・・
・・・地味に少し前のvs教授という文章におびえを感じていたのは俺だけでいいw
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