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ああ、御社に外界の風が吹く ②

練習開始から2時間ほど経った。飲み込みが早かったのか、その頃にはフランは1人で自転車に乗れるようになっていた。
「教授~!見て見て~!」
「おぉー、すごいすごい」
余程嬉しかったのか、はしゃいで辺りを自転車でくるくると回るフランを満足そうに霜月が見ていると、
「早苗ただいまー」
そこに不思議な形の帽子を被った少女がやって来た。呼ばれた早苗は少女の姿を見ると、
「あ、お帰りなさいませ、諏訪子様」
すぐに彼女に恭しく頭を下げて挨拶をした。された少女はそれを見ながら、近くにいた見知らぬ2人の事を聞く。
「早苗、あの2人は?」
「今朝申しましたお客様です。紅魔館の霜月さんとフランちゃんです」
それを聞いて彼女は2人を探るように少し見つめると、にこっと笑って、
「私、ここの神様やってる洩矢諏訪子っていうんだ。2人ともよろしくね」
自己紹介をしつつ、近くにいた霜月に手を伸ばした。
「紅魔館客員の霜月です。そしてあちらは紅魔館当主の妹様のフラン様です。こちらこそよろしくお願いします」
霜月もそれを握り返して自己紹介をした。
少し相手を探る事を兼ねた雑談をしてある程度打ち解けてから、霜月は気になっていた事を聞こうとする。
「そういえば洩矢様、」

が、ここまで言ったところで諏訪子から静止が入る。
「ん、諏訪子でいいよ。何かそれだと堅っ苦しいし」「あ、では諏訪子様、先程までどちらに?」
帰って来たという事はそれまで出掛けていたという事である。二柱神とはいえ、神社の神が社を空けてまでどこへ行っていたのか、霜月は気になっていたのだ。対する諏訪子はそれを聞いて答える。
「あぁ、里のお祭りの出店場所の会議があったから行って来ただけだよ。抽選やらで結構時間かかってさ」
そこまで言ったところで、お祭りと聞いて目を輝かせたフランが割り込む。
「お祭り?!教授、私行きたい!」
そういうと、彼女は霜月の服を掴んで前後に揺らす。当然、服を着ている方も揺れるわけであり、
「うぉぉ?!分かった、分かったから落ち着いてフランちゃん!せ、世界が揺れる~?!」
霜月の6割程の背丈しかないはずのフランが霜月を前後にがっくんがっくんと揺らす、面白い光景になった。このなんともおかしな光景に諏訪子は感嘆の声を上げる。
「お~…霜月だっけ?大丈夫ー?」
「し、視界が定まらない…」
なんとかフランを止めた霜月だが影響を多大に受けてしまったために立っていられず、その場で崩折れる。流石にフランも反省して、
「ぁぅ…教授ごめんなさい…」
しゅんとしながら霜月に謝った。どうにか目眩が収まった霜月は立ち上がると、「大丈夫」と言いつつフランの頭を撫でる。それで少しは安心したのか、フランは霜月の腹部に両手を回して抱きついた。
「それで諏訪子様、そのお祭りは何時行われるのでしょうか?」
フランの頭を撫でてやりながら、しっかり情報収集する霜月。
「確か次の週末だったよね、早苗?」
問われた諏訪子だが、少し不安だったのか早苗に確認する。早苗は頷いて、
「えぇ。守矢神社も破魔矢やお札を販売するのでどうぞ見に来て下さいね」
ちゃっかり宣伝もしていった。もっとも、
「ははは…吸血鬼の館に破魔矢持って帰るのもどうかと思うのでそこは遠慮します」
あまりの縁起の悪さにそこは遠慮したが。

夕方、空が紅に染まり始める。あの後フランは疲れていた事と、霜月に頭を撫でられて事で安心したからか、霜月に抱きついたまま寝てしまった。霜月は研究者としての血が騒いだのか、早苗にフランを預けると神社の周囲を探索し始めた。そしてあちこち巡るうちに湖の近くに出た。
「これは…」
そこには、一面に木の柱が乱立していた。すぐには数え切れない程の柱が、そこにあった。
「諏訪大社名物御柱。ここは役目を終えた御柱達の墓場だよ」
その声に振り向けば、神奈子が遠い目をして立っていた。
「墓場…ですか?」
「そうさ。外界で供養したものだが、数年とはいえ立派に役目を果たした。それを私がこっちに来てから形だけでもと思って蘇らせて安置した…1つの郷愁の形さね」
霜月の言葉に、寂しさが混ざった顔で答える神奈子。
「帰りたい…んですか?」
恐る恐る霜月は神奈子に問う。彼女はそれを聞くとからからと笑いだし、
「そんなんじゃないさ。ただ、向こうで私に仕えてくれたもの達への感謝を忘れないためさ」
さっきまでとは違う、慈愛を込めた視線で幻想となった彼らを見渡した。
「あぁ、そうだ」
唐突に神奈子は霜月の方を向く。
「あの子が起きた事を伝えに来たんだ、忘れてた忘れてた。お前さんの事を探してたから早く行ってやんな」
それを聞いた霜月は顔を青ざめさせて、
「そういう事はもっと早く言って下さい!」
神社の方へ全力で駆け出した。その背に夕陽と陽気な神様の笑い声を受けながら。

日も暮れて、世界が暗闇に包まr「痛イ!るーミア痛い!俺ハ食べ物ジャない!」「そーなのかー(かじかじ」「言いナガらかジルなぁァ!」……暗闇に包まれた。
守矢神社を後にした霜月とフランだったが、
「む~~」
「あはは…まだ許してくれないかい、フランちゃん?」
「む~~っ!!」
起きた時に霜月がいなかった上に中々戻って来なかった事にすっかり拗ねてしまい、霜月に肩車された状態で彼の頭の上で唸っていた。
「1回だけ何でも言う事聞いてあげるからさ、ね?」
「む~…」
霜月の言葉に少し心が揺れるフラン。そして、
「…じゃあ、今度のお祭りで満足するまで遊ぶから付き合って」
少し恥ずかしがりながら霜月に願い事を伝えた。
「分かった、約束だ」
そう言って霜月はフランと指切りをして、紅魔館への道を帰っていった。
満天の星空だけがそれを見ていた。
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No title

え、あれ、ちょ・・・これ、かじられてるのはボク?

No title

非常用食料ジルコニア人形であった。
ぶっ飛ばされるだけでは満足できないのねw

しかし、甘い、甘いぜ。
私はもう冬なのに溶けそうですよ。
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