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「女心と山の巫女」 ④

早苗が居間に入ると、彼女を見たランジェロは急に話し出した。
「おぉ…可憐な人だ…」
「はい…?」
困惑する早苗、しかしランジェロは止まらない。しかも言いながら早苗へと近づいていく。
「貴女の様な可愛らしい人が巫女とは、まさしく神の御使いだ…。あぁ、申し遅れました、俺はランジェロ・ミステリオソと言います。おみおしきりを゛っ?!」
そこまで言ったところで、ランジェロは強烈なプレッシャーと共に襟元を掴まれた。ギギギギ…と恐る恐るランジェロが首を後ろに回すと、そこには笑顔で殺気を撒き散らす霊夢の姿があった。
「ラ・ン・ジェ・ロ?"何"をしていたのかしら?」
「あ、いや、その」
霊夢の放つ殺気と、その底冷えする様な声に気押されるランジェロ。それを見た霊夢の殺気は更に膨れ上がる。正面から相対していない霜月とフランだったが、その威圧感に霜月は冷や汗が止まず、フランはガタガタと震えて霜月の背中にしがみついた。
「まさか"私の目の前"で"そんな事"をするなんてねぇ…」
そう言いながら、猶も殺気を濃くする霊夢。と、ここで霊夢は振り返ることなく霜月を呼ぶ。
「霜月」
「何でしょうか、皇帝閣下!」
突然の呼びかけに思わず身体を硬直させながら、返事をする霜月。一方、自分への呼称がおかしい事を一切気に留める事無く、霊夢は言葉を続ける。
「私、ちょっとランジェロに"話"が出来たから早苗の事、頼むわね」
「了解致しました、皇帝閣下!」
霊夢の言葉に敬礼付きで返す霜月。その言葉を聞くと、霊夢はランジェロを引き摺る様にして居間を出る。流石に事ここに至って言い表せぬ悪寒を感じたランジェロは、
「ちょ、教授!ヘルプ!ヘルプ!」
と、霜月に助けを求めるが、
「すまん、らんにー、まだ消えたく無い」
「消滅確定?!」
その悲痛な叫びを残して、ランジェロは霊夢に社務所の奥へと引き摺られて行った。
残された3人の間に痛い沈黙が漂う。そして何とか霜月はその呪縛を振り払うと、
「早苗さん…でよかったかな?」
「は、はい」
「立ちっぱなしも何だし、適当に座って」
「わかりました」
早苗に座るように言った。

とりあえず落ち着いた3人。そこで霜月は気が付く。
「そういえば自己紹介がまだだった。初めまして、紅魔館客員の霜月です」
そういうと、早苗に軽く頭を下げる霜月。対する早苗も礼をして、
「最近外界から神社ごと山に越して来ました、守矢神社の当代の風祝の巫女、東風谷早苗です。よろしくお願いします」
しっかりとした受け答えをして見せた。
「こちらこそ。紹介が遅れましたが、この娘は紅魔館当主、レミリア・スカーレット様の妹君になります…「フランドール・スカーレットです。よろしく、早苗お姉ちゃん!」…フラン様です、重ねてよろしくお願いします」
そう言って、霜月とフランは頭を下げた。
「こちらこそ、お願いしますね」
早苗も軽く笑って答えた。と、ここでフランは聞きたくてうずうずしていた質問を早苗に問う。
「早苗お姉ちゃん、外界ってどんなところ?教授も外界から来たって言ってたんだけど」
早苗は少し考えると言葉を紡ぐ。
「そうですね…言うなれば幻想を否定した世界…でしょうか」
「あぁ、確かにその表現は言い得て妙だな。なるほど、そういう言い方もあるか…」
その言葉に興味深げに頷く霜月。一方、上手く想像出来ないフランは首を傾げる。
「…どういう意味?」
「例えば幻想郷では空を飛ぶ事は余り珍しい事ではありません。それなりに力を持つ人や妖怪であれば空を飛ぶ事が出来ます。ですが外界ではどんなに努力をしても自分の力だけでは人は空を飛ぶ事は出来ません。」
フランの言葉に簡単な例で説明する早苗。フランはそれを聞いて、
「なぁーんだ、外界ってもっと面白いところだと思ってたけど、そうでもないね」
と、素直な感想を語る。そう言われた元外界人2人は苦笑いをした。それからしばらく3人で話をしていて、ふと、霜月は早苗に気になる事を感じて聞いた。
「そういえば早苗さん、外界の物って何か持って来てます?」
聞かれて早苗は少し考える。
「うーん、あまり持って来てはいませんけど…そうですね…自転車と自動車はあります」
「自転車?自動車?何それ?」
初めて聞く単語に、興味津々なフラン。それを見て妙案が浮かんだ霜月は早苗にお願いする。
「早苗さん、今度そちらの神社を伺ってもよろしいでしょうか?フランちゃんに見せて上げて欲しいんですけど…」
「えぇ、いいですよ」
霜月の提案を快く許可する早苗。霜月は思わず快哉を上げて喜んだ。
「ありがとうございます!よかったね、フランちゃん。実物を見せてもらえるよ」
「本当?!ありがとう、早苗お姉ちゃん!」
最初は意味がわからなかったフランも、霜月の言葉で理解すると、大喜びで早苗に抱きつく。早苗は少しよろけながらも、それをしっかり受け止めてフランの頭を撫でた。ちょうどそこに戻ってきた霊夢は入り口でその姿を見て、優しく見守る様に笑った。

戻ってきた霊夢も加えて(途中でランジェロも戻ってきてそれに加わって)雑談すること数時間。楽しい時間は過ぎるのが早く、気付けばもう日暮。
「それでは、日時はまた後で決めるということで?」「はい。それと場所も分からないので、当日に別の場所で待ち合わせてもらえますか?」
帰り際、先に神社を出る早苗と簡単な打ち合わせをする霜月。
「わかりました、では博麗神社前で集まりましょう」
「了解です。では、また」「えぇ、さようなら」
「早苗お姉ちゃん、またね~!」
博麗神社の前でまた会う事を約束して、早苗は神社の階段を下りて行った。残された4人は早苗を見送ると、一息をつく。そこで霜月はランジェロの方を見る。
「しっかし…よく生きてたね、らんにー」
「生きてる事の素晴らしさを思い知ったよ、教授…」ボロボロになりながらも、どうにか答えるランジェロ。隣では霊夢が明後日の方向を見ながらあはは…と乾いた笑いをこぼしていた。
「それじゃあ私とフランちゃんも帰りますわ」
「あぁ、教授元気でなー」
「またね、霊夢!」
「えぇ、またね、フラン」
そういうと、フランと霜月は先ほど早苗がそうだった様に階段を下って行った。
それを見送ったランジェロは、ぽつりと呟く。
「行っちまったな…」
「アンタもとっとと帰れ」
「相変わらず厳しいこって…もっとも、誰かさんのおかげで帰れるような状態じゃないんだけど?」
霊夢の容赦の無い言葉にも瓢々とした態度を崩さないランジェロ。それに諦めたのか、
「わかったわよ、一晩だけ泊めてあげるわ」
霊夢はため息をつきながらそう言った。
「マジで?!いやっほう!霊夢愛してる!」
「えぇい!黙れ!抱きつくな!この巫女馬鹿!」
そう言いながら、2人は社務所へと戻って行った。

そんな事があったとは露も知らない霜月とフランの帰り道。霜月はフランに聞く。
「フランちゃん、今日は楽しかったかい?」
「うん!とっても楽しかった!次に外に出る日が楽しみ!」
それにフランは満面の笑みで答えた。その笑顔を見て、霜月は(連れ出せてよかった)と、心の底から思うのだった。
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comment

Secret

続き待ってました!
この根なし草っぷりが実にリアルなランジェロ…実は霊夢一筋だということも含めさすが先生、よくわかってらっしゃる。
霊夢は基本的にツンデレでいいと思うんだ。これは私の勝手な意見ですけどね。
ZEFがいつか優勝したら先生に小説書いてもらいたいぜ…いつになるかわからないけどな!
今回も非常に楽しませて頂きました。お身体に気を付けて頑張って下さいね。


…あ、ちなみに私と早苗さんの仲に進展は…
…ジョークです。
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